PETRY to LEICA M Mount Adapter

ペトリ→ライカM マウントアダプターを自作してみた。

 
 
1960年代に、私は全く知らなかったのですがペトリカメラという、カメラメーカーがあったようです。ペトリは現在もペトリ工業株式会社として双眼鏡などを OEM 製造しています。 当時はニコンやキヤノンに対抗する廉価版のカメラやレンズを製造していたようです。そのレンズを偶然入手したので、色々なカメラで使用できるよう LEICA M マウントに変換するアダプターを作ってみました。 因みに私が入手したのは、初期のシルバーモデルだと思います。

C.C Auto 1:1.8 f=55mm PETRI CAMERA CO.,INC.
 
レンズ側のマウントはカメラから取り外して再利用する必要があります。
ジャンクコーナーに転がっていたこの汚いカメラを、なぜ買って帰ろうと思ったのかは自分でもよくわかりませんが、なんとなく魅かれるものがあったのは確かです。 油やカビで汚れていましたが、綺麗にすれば何とかなりそうな感じではありました。

 
ちょっと掃除しただけで、こんなに綺麗になりました!テンション上がりますね。保管状態は良くないですが、あまり使用されていなかったようです。 レンズのカビや内部のうす曇り、油ベトベトで動かない絞り羽根などは、あとで分解整備します。

 
3 本のマイナスネジを緩めるだけで、マウントは簡単に外れます。
ちょっと忍びないですが、カメラ本体は故障しており使う予定もないので廃棄しました。

 
取り外したレンズマウントです。

 
カメラ側は LEICA M マウントにしたかったので、これを流用します。
KONICA AR レンズを LEICA M マウントカメラに取り付けるためのマウントアダプターで、TECHART の LM-EA7 にも対応しているものです。たぶん中国製で ebay や Amazon などで簡単に入手できます。

 
レンズを手で押さえながらファインダーを覗いて無限遠が出るか否かチェックしてみます。
カメラ→LM-EA7→AR-LM→ペトリマウント→レンズという構成です。LM-EA7 は MF モードで無限遠になるように設定しています。

 
この位置で無限遠になります。かなりオーバーインフですが、なんとか使えそうです。

 
ペトリマウントを固定するビス位置にマーキングして、レンズ側のプレートを外します。

 
間に挟まっているこのリングは不要なので、廃棄します。

 
プレートの内径が大きいので穴あけができません。仕方がないので半円の溝になるように削ります。 真鍮製のプレートなので比較的簡単に削れます。

 
こっちはカメラから取り外したペトリマウントです。
M2 のビスが入らないので、穴を少し大きくして皿穴加工します。

 
裏返してみると、薄いフランジ部分が少し高くなっているようです。

 
凹み部分を埋める厚み 1mm 程度のスペーサーを作ります。ゴムシートやプラ板を使用します。

 
ビス位置に穴をあけて・・・

 
このようなスペーサーを作りました。

 
LEICA M マウントアダプターのレンズ側プレートとペトリマウントを M2 のステンレス皿ビスとナットを使用して固定しました。 ビスの長さは 10mm です。

 
裏側はこんな感じです。
ナットが半分しか引っかかっていませんが、意外としっかり固定できています。ビスの先端が出過ぎているのでリューターで少し削る必要があります。

 
ナットが干渉してしまうので、LEICA M マウントアダプターの方も削る必要があります。アルミなので簡単に削れます。

 
削った場所やナットは乱反射防止やネジのゆるみ止めを兼ねて艶消しの黒で塗っておきます。

 
組み立てたところ。
0.5mm くらいの厚みのスペーサーを挟んで組み立てれば無限遠はもう少し良い感じになると思います。

 
これで完成です。

 
レンズもクリーニングしてみました。
心配していたカビは表面に軽くついているだけだったので、コーティングにダメージを与えることなく綺麗に取り除けました。 内部の曇りも、単なる汚れでバルサム切れではありませんでした。また、絞り羽根は脱脂すると正常に動くようになりました。

 
かなり綺麗になりました。

 
レンズをカメラに取り付けたところ。

 
ちょっと試写してみます。
 
二線ボケなどもなく、すっきり柔らかい感じです。

α7IV A Mode 1/60 F1.8 ISO=200 Cleative Look=ST WB=Auto
 
ちょっと煩い背景が油絵のようだと言われる特徴もしっかり出ていると思います。

α7IV A Mode 1/5000 F1.8 ISO=400 Cleative Look=ST WB=Auto
 
ピント面も結構良いですね。名玉の予感・・・

α7IV A Mode 1/125 F1.8 -0.7EV ISO=1600 Cleative Look=ST WB=Custom
 
逆光では綺麗なブルーのゴーストが出ます。

α7IV A Mode 1/4000 F1.8 -0.5EV ISO=100 Cleative Look=ST WB=Auto